専門家の力 患者さんから採取した血液検体の検査は、現在では多くが自動化されている。人の関りが少ないように見えるが、日常診療で使用されている臨床検査データは、誤診が起きないように徹底した人による管理が行われ、その精度が担保されている。 精度を管理せよ どんな優れた機械、優れた方法を用いようと、測定誤差というものは常に存在する。それのみならず、検体の取り扱いが適切でなければ、正しいデータが出るはずがない。その管理は人の力による。 東北大学病院検査部では、ISO15189という臨床検査室における検査の品質と能力に関する要求事項を満たす国際規格を取得している。日常の検査では、検体の採取から搬送、実施中の検査と装置の管理、検査後のデータが医師に届くまでの一連を管理し、正確な検査データが迅速に届くように行われている。 必要なデータを追い求める また、各分野に精通した臨床検査技師が検査を行うことで、病気の早期発見のため医師への付加価値のある情報提供も行っている。例えば、検査データを見て、診断をするにはデータが足りないと判断した場合は、上記のフローサイトメトリーなどの追加検査を実施するなど、必要な検査を医師に対して提案することもある。 総括 採血検査は非常にメジャーな検査だ。しかしながら、採血後の血液検体がどこにいくのかということについては、一般的に広く知られているとは言い難い。そこで今回は、生化学検査と血液検査がどのように進むのかという舞台裏を紹介した。 検査部では日夜、診療に不可欠なデータを提供している。そしてそれは、専門家による人の力と、最先端の機材による機械の力あってこそなのだ。 参考文献 メディックメディア(2017)「検査」, 医療情報科学研究所「病気がみえる vol.5 血液(第2版)株式会社メディックメディア」p.12 東北大学病院「各検査室紹介 | 東北大学病院」, 東北大学病院, https://www.hosp.tohoku.ac.jp/departments-3/d3101/introduction/ (2022/10/05) 日本医療検査科学会(2020)「日本医療検査科学会第52回大会 第10 回 血液検査機器技術セミナー」, 日本医療検査科学会, https://jcls.or.jp/wp-content/uploads/2021/04/cdcdf780609304d0f717b7741aaf2d81.pdf (2022/10/05) 文責:東北大学医学部医学科4年 病院企画班 松原光希
血液検査 その他に行われているのが血液検査だ。生化学検査では血清または血漿中の分子を検査していたが、こちらでは赤血球や白血球、血小板など、血液中の細胞の数や異常を見つける、よりマクロな検査が行われている。また、止血に関わる凝固系の検査や血小板の機能検査、血栓症に関わる検査なども行われている。 血球算定・血液像 ↑血球分析に用いる装置一式 血球算定の検査検体は、専用の採血管に採血され検査室に運ばれてくる。検体は専用のラックに収められ、この装置にセットされる。 多項目自動血球分析装置 ↑多項目自動血球分析装置 血液中の赤血球や白血球、血小板などの血球は、体中の組織に酸素を運んだり、細菌やウイルスなどの病原体と戦ったり、止血に関わったりする重要な細胞である。それがどれ程存在しているか、またそれらに異常はないかというのは、臨床上非常に重要な情報だ。 かつては顕微鏡を使って一つ一つ血球を数えていたこの検査も、今や自動化されている。1回の検体吸引により、赤血球、白血球、血小板の計数、ヘモグロビン濃度、白血球分類の測定が可能である。この測定を「血算」と呼ぶ。 血球計数の基本的な原理は、「シースフローDC検出法」と呼ばれる原理が用いられている。これは血球が殆ど電流を通さないことを利用し、血球が極小の孔を通る時の周辺の電気抵抗の変化を計測することで、孔を通過した血球の数と体積を導き出している。血球の大きさはその種類によって異なるので、そこから血球の分類が可能である。 貧血の診断に使用されるヘモグロビン濃度は、「SLS-ヘモグロビン法」という原理を用いている。赤血球内に含まれるヘモグロビンを試薬により転化させ、その色素から検体のヘモグロビン濃度を算出するものである。 白血球分類の測定は、半導体レーザーを利用したフローサイトメトリー法を用いている。血球一つ一つにレーザーを当て、その散乱光をとらえることで、血球の大きさや内部構造の複雑さ、細胞内成分の多寡を判別するものである。これにより白血球を好中球、好酸球、好塩基球、単球、リンパ球に細分類し、その増減、また異常な血球の有無を解析する。 ↑フローサイトメトリーの概略図 収納機 ↑収納機 右にあるのが先程の多項目自動血球分析装置である ↑収納機の内部 血算で特に異常が認められなかったものは、この収納機に一時保存される。仮に再検査や追加検査が必要だった場合に備え、必要になった検体をすぐに取り出せるように収納ポジションが把握できるように管理されている。 塗抹標本作成装置・鏡検 ↑塗抹標本作製装置 右に先程の収納機が置かれている 血算測定で異常が見つかった場合、臨床検査技師による顕微鏡観察が必要となる。この塗抹標本作製装置は、その作業を驚異的に効率化するものだ。 先の装置で血算を測定したときに異常が検出された場合、検体は先程の収納機に収められる前に、この装置に入る。この装置は少量の検体を薄くスライドガラスに広げた「血液塗抹標本」を自動で作る。血液像の観察では、適切に作製された標本を使用しないと血液細胞の異常を正確に判定することができない。この装置の活躍により、顕微鏡検査を担当する臨床検査技師たちは、この装置からスライドガラスを取るだけで、良質な塗抹標本を得ることが出来るのだ。 塗抹標本を作り終えると、検体の入った採血管は今度こそ収納機に収められる。 ↑顕微鏡観察に使われる顕微鏡 原始的とも思える顕微鏡観察であるが、これもまた重要な検査である。 血球の中には装置では検出できない細胞形態の変化というものも存在する。たとえばウイルス感染時のリンパ球の変化や正常細胞に紛れ込んでいる造血器腫瘍細胞などは装置で完璧に識別できるわけではなく、顕微鏡下で人の目でとらえられる。詳細な細胞分類は機械で行うには至っておらず、判別するには鏡検が必須なのである。 検査機器の性能は向上しているが、その機械を効果的に使用し、人の力を合わせることで病気の早期発見ができるのである。 凝固系 ↑全自動血液凝固測定装置 凝固系:血液はきちんと固まるか ヒトの血液には凝固系という止血システムが存在する。血中のフィブリノゲンという糖タンパクはトロンビンの作用により、フィブリンというメッシュ状の繊維に変化し、血液を凝固させる。 この凝固系を試験管内で再現し、血液が凝固するまでの時間を測定することで、止血異常などの有無を確認することができ、手術など処置前の非常に重要な情報となる。この機械では凝固系を活性化させる試薬を検体の血漿成分に投入し、凝固するまでの時間を自動で計測してくれる。これにより止血の能力やその異常を確認することができ、また現在では、血液中の凝固反応の過剰を表す分子マーカーや血栓の有無をとらえることもできる。 フローサイトメーター 多項目自動血球分析装置に搭載されているフローサイトメトリーだが、細胞解析に特化した専用の機材も存在する。 こちらでは、細胞にレーザーを照射し、その散乱光から得られる情報だけではなく、蛍光色素の付いた抗体を利用することで、細胞表面または細胞内にある細胞系統を特定する抗原や細胞機能を表す分子を同定することが可能である。 ここから得られる情報は、リンパ球サブセットの分類や、造血器腫瘍の診断に使用される。顕微鏡ではわからない細胞の特徴や異常をこの機械でとらえることができる。 このフローサイトメトリーを院内のルーチン検査で実施している施設は少なく、多くは外注委託となっている。東北大学病院検査部では上記の検査を行った上で、更に情報が必要な場合に、さまざまな造血器腫瘍に柔軟に対応し、迅速な検査結果の報告を行っている。 ↑フローサイトメーター
診療現場において日常的に行われている血液検査。診断にも治療効果の評価にも不可欠な血液検査だが、そのデータがいかにして報告されているかということは、あまり知られていない。 今回は患者さんから採取された検体が、如何なる工程を経て、診察室に届けられるデータとなるか紹介していく。 生化学検査 まず紹介するのは、特定分子の濃度や活性を測定する、いわゆる生化学検査だ。 生化学検査の項目には血糖や総蛋白、脂質といったものや、ASTやLDH、γ-GTPといった酵素、クレアチニンのような代謝産物などがある。 異常所見が何を示唆するかはそれぞれの指標によって異なる。例えばASTやALTが上昇していれば肝疾患を疑い、クレアチニンの異常高値があれば腎機能障害や脱水を疑うことが出来る。 徹底的な自動化 かつてはこれらの検査も一つ一つ臨床検査技師の手で行われていたそうだが、現在の東北大学病院では、一日に800~1000件もの検体を検査せねばならない。その数に対応するため、検査件数の多いものに関しては、検査の工程の殆どが高度に自動化されている。 採血室から来た検体は、まずこの装置によって遠心分離を受ける。 ↑遠心分離機 これにより血液は「血餅」と「血清」に分離される。生化学検査に必要なのは、この透き通った血清の方だ。 ↑血餅(下部)と血清(上部)に分離された血液検体 両者を分ける中央部の白色の分画は分離剤 分離された検体は、次のこの自動分注装置にセットされる。 ↑自動分注装置 ここからの処理は、その殆どが自動で行われる。 生化学検査は複数の分析装置で行われる検査を一本の採血管で賄っている。分注装置は検体の入った採血管のバーコードを読み取り、病院システムから依頼された検査を参照し、検査に必要な分析装置数に応じて子管に分注する。さらに子管はベルトコンベア(搬送システム)で各検査装置に運ばれ、検査依頼に応じて各検査が全自動で行われることになる。子管に分注するメリットは、複数の検査装置で同時に検査が開始することができるため、報告時間を短縮できる点である。 一時間に80人分:生化学検査自動分析装置 ↑生化学検査自動分析装置 この自動分析装置では、肝機能の検査に必要なASTやALT、腎機能を反映するクレアチニンや尿素窒素など、非常に多くのバイオマーカーを測定している。 ↑生化学検査自動分析装置の一部。4本のアームで試薬を撹拌する。黒い円状のパーツに開いている四角形の穴が、検体や試薬を入れる「セル」である この機械の中では、ラベルから行うべき検査を読み取り、それに対応した試薬の注入と吸光度測定を実施し、目的の物質の濃度や活性を導き出す。この工程は全自動で行われる。 検査速度も非常に速い。この機械一台で、最大で一時間に2000テストもの検査を行うことが出来る。一検体で行う検査数や、試薬と検体を反応させるパーツである「セル」の洗浄時間を加味しても、一時間に70~80人分もの検体を測定することが出来るという。 腫瘍マーカーやホルモンのスペシャリスト:化学発光免疫測定装置 完璧にも思える自動分析装置だが、弱点は存在する。吸光度測定によって濃度を計測するという都合上、腫瘍マーカーやホルモンなど、血中濃度が非常に低い物質の解析は困難なのだ。 自動分析装置で分析可能な物質の一つ、直接ビリルビンの正常値は0.5 mg/dL以下とされている。一方で胃癌や大腸癌の腫瘍マーカーであるCEAの正常値は5.0 ng/mLだ。文字通り、スケールが違いすぎる。 そこで、これらの物質の測定は「化学発光免疫測定装置」という別の装置で検査が実施される。 ↑化学発光免疫測定装置 検査原理上、蓋を開けてしまうと動作が中断するため、中を見ることは出来ない この装置は、標的物質(抗原)とそれに結合する抗体を利用した抗原抗体反応を測定原理としている。抗体に標識されて発光する物質を用いることで、光の強さから標的物質の濃度を測定する。こちらも全自動での検査システムに組み込まれているが、反応過程で洗浄操作なども含まれることから、生化学自動分析装置よりも測定に時間がかかってしまうという。 検体を自動で保管 これらの検査では、採血した血液をすべて使うわけではない。分注後も採血管には十分量の血液(血清)が残っている。従って残った血液は一週間冷蔵保存し、再検査や追加検査に備えることになっている。そして、その冷蔵過程もまた自動化されている。 ↑検体を一時保管する保冷庫 搬送システムに組み込まれており、検体は全自動でここに格納される 検査を終えた検体はベルトコンベアでこの保冷庫に運ばれ、保存される。人の手を介すること無く保管されるため、移動にかかる時間を最小限にでき、検体の劣化を最小限にできるのだ。 とはいってもこの保冷庫の容量では検査部が定める保管期間分の検体を保管できないため、別途保存用の冷蔵庫に移動させる必要があるという。再検査や追加検査に備え、1週間分の検体を冷蔵保存しているそうだ。 血糖値とHbA1c 上記のように生化学検査は自動化されている。とは言え、全ての検査を搬送システムに連結することは困難である。 例えば、糖尿病の所見となる血糖値とHbA1cの検査装置は搬送システムから切り離されている。 ↑左:HbA1c測定機 右:血糖値測定器 上記2項目は同時に検査依頼されることが多く、かつ生化学検査とは別の専用採血管を使う必要があるため、あえて搬送システムと切り離した運用をしている。一日あたり500件の検査を実施しているが、こちらの検査も自動分析されており、迅速な結果報告が可能である。 測定原理としては、血糖値は糖と酵素の反応を電気信号で捉える「酵素電極法」が、HbA1cは「高速流体クロマトグラフ」が用いられている。
この記事では検査技術科学専攻2年生前期の1週間について紹介します。時間割は下記のようになっています。 まずは月曜日。この日は1限から4限まで専門科目の授業があります。1限は対面で行う検査情報科学です。この授業では医学分野でも情報技術が発展していることから、情報処理の仕組みについて学んでいます。(医療系でも情報は大事なんです!)また基本的なコンピューターの基礎知識についても習得できます。2限はオンラインで病理形態学の講義を受けます。病理形態学では代表的な疾患について病理学的立場から理解していきます(ちなみに病理検査では、体から組織や細胞を採取して染色し、顕微鏡で異常を調べます!)。名前だけは聞いたことがあるという疾患も詳しく学ぶことができるので楽しいです。 2限が終わったら昼食タイム。星陵キャンパスには麺類からご飯もの、アラカルトまで豊富なメニューが揃っている医学部食堂があります。また軽食、アイス等も買える購買もあるのでその時の気分によって自分の好きなものが食べられます。午後の専門科目の授業に備えてお昼にしっかりとエネルギーを摂取していきます。3限は対面で臨床医学総論の授業を受けています。この授業は循環器・呼吸器疾患についての講義が行われます。各種疾患の症候から必要な検査や、疾患の治療法についても学んでいます(検査専攻の学生も治療法勉強するんです!)。4限は基礎生化学の対面授業を受けます。この講義では、体内に存在する生体物質と体内で生じる生命現象について学んでいきます。この授業が終わると月曜の講義は全て終了です。この時点で時刻は16時10分。部活動・サークル活動やバイトがある人もいれば、夜ご飯を友人と食べにいく人など過ごし方は人それぞれです。また、星陵キャンパスに残って授業の復習や課題に取り組む人も多々います。 次に火曜日。この日の私が履修登録している授業は3限の数理統計学のみです。この科目は検査専攻の学生は必修となっています。1限がある日に比べてこの日の朝はゆったりと過ごせます。また、数理統計学の授業は2つに分けられ、私がとっている授業はオンデマンド形式になっているため、自分の時間に合わせて受けることができます。この日は課題や講義の復習をする日として活用しています。 そして水曜日は1限と2限に専門科目の講義があります。1限は生体分子分析化学(難しそうな名前ですよね。。。)という講義を対面で受けます。分析化学とは臨床化学検査の根本である「測定法」に関する学問分野です。そして2限は血液学の講義を受けます。この講義では血液の成分・機能についての基礎的な知識や各種血液疾患の病態、検査について学習しています。2限まで終わったら、今日の講義はここまでなので、午後は自分の好きなことに時間を使ったり、バイトをしたりしています。 続いて木曜日。この日の私のとっている授業は3限の英語のみとなっています。1限がないので朝をゆっくり過ごすことができますが、午前の時間を有効に使って家事を終わらせています。また14時30分には授業が終わるのでその後の時間は買い物や課題をしたりして、できるだけ家でだらけることがないように過ごしています。 最後の金曜日。この日の1限は免疫学の講義がオンラインであります。この授業では生体防御のメカニズムを理解して、病気との関連について学んでいます。2限では微生物学の授業を受けます。微生物学では感染症の種類、病態、症状、診断、治療、予防について理解するとともに原因微生物の様々な検査方法も学習しています。覚えることが多い講義の一つですが、次回の授業で前回の授業の小テストがあるので、復習することで知識の定着を図っています。金曜日も2限までの授業で終わりなので午後は自由に時間を使うことができます。 ここまでが検査専攻の学生の1週間です。上記に書いたのはあくまで私が履修登録している授業のみであり、他にも様々な選択科目があるため、自分が興味ある授業を取ることもできます。検査専攻の2年生前期は「華の3セメ」(東北大学では1年が前期後期で分けられ、1年生の前期から順に1セメスター、2セメスター、、、と表現されます。その略語として◯セメという呼び方が一般的になっています)とも呼ばれ、自分の趣味や好きなことに時間を使ったり、友人との最高な思い出を作るには最適な時期です。必修科目の勉強を疎かにしないようにすれば、大学生活を楽しむことができると思います。 以上で検査専攻の学生の紹介を終わります。
どうも〜脱出ゲーム班の班長の相原(仮)です!前回の投稿から2ヶ月が経ってしまいました、ごめんなさい( ;∀;)夏休みを十分に満喫させていただいておりました。そして、病院実習が始まると同時に医学祭の準備もアクセルを踏んで、着々と進めているところでございます。こちらをご覧になっている物好きな方は、医学祭関係者が多いのでご存知かもしれませんが、医学科は夏休みが1ヶ月しかないのです!大学生活は人生の夏休みとか言って、夏休みも春休みも2ヶ月くらいあってゆっくりできるものなのですが、医学科はそう甘くはありません…1年生でさえ、1ヶ月しかないのです…「思っていた大学生活とちがーう!!!」いう悲痛な叫びは医学部の至る所で聞こえてきます笑笑なんて愚痴はさておきまして、うちの班の頑張りについてアピールを。脱出ゲームのテーマは消化管なのですが、口、食道、胃、腸、がん、栄養という6つのブースを用意しておりまして、1人1つくらい担当して、展示するポスターを絶賛作成中です!伝わるように文章を考えるのって難しいですね、みんなで痛感しております…もちろん、みんなコピペとかじゃ無く、一生懸命言葉を選びながら一から文章を作っているのですよ。こだわりの文章に注目してくださいね!そして、ポスターだけでなく、装飾にも手をつけ始めました!これ、なんだか分かりますか…? まだまだ途中なのですが、分かる方には分かるはず…結構形はいい感じに出来てます。(協力してくれた大切のお友達の皆さんありがとう!!)これは、消化管とは直接的には関係ないのですが、私たちの脱出ゲームには、なくてはならないものなのです٩( ᐛ )وこれからどんどん立体的にしていくので、更新を楽しみにしていてくださいね!ではでは、また私の気が向いた時にお会いしましょ~
初めまして。東北大学医学部医学科5年生で「ぬいぐるみ病院」という企画を担当しております。前回も大人気の企画です。子供達の笑顔を見られるのを楽しみにしています。 さて軽く自己紹介です。出身は大阪で高校卒業までずっと大阪で育ちました。東北大学に行こうと思ったきっかけは、一人暮らしをしたかったこと、なんとなく寒いところに行きたかったことです。でも北海道は雪深そうなので東北にしました。最初は東北大学ってどこにあるんだ、って感じでしたが、仙台に住み始めた時は未踏の地で暮らすことに高揚感を覚えていました。そして今ではここ仙台をとても気に入っています。そこで今回は東北地方のいいところを紹介しようと思います。 まず一番は自然に恵まれていることですね。僕は医学部ヨット部に所属しておりまして現役の時は毎週海に行ってました。今でもよく海に行きます。2018年までは七ヶ浜、現在は閖上で活動しています。海というと私は仙台に来るまでは無縁でしたが、今ではなんだか親みたいな感じの印象を持っています。優しい風を吹かせてくれる時もあれば自然の厳しさでもって打ちのめしてくることもありました。海は多くのことを僕に教えてくれました。閖上のヨットハーバーに来たばかりの頃はハーバー付近の道路は未舗装、仮設トイレにプレハブ小屋という状態でしたが、現在ではハーバー内に施設も建てられ、近くには閖上朝市やかわまちテラス、サイクルスポーツセンターなどもあり毎週末が盛況です。閖上には是非一度訪れてみてください。 海だけじゃ山派の方に申し訳ないので山の話もしましょう。東北には登りがいのある山がいくつもあります。一番は山形県と秋田県にまたがる標高2,236mの鳥海山。登っている途中にふと振り向いたときに広がっている日本海と庄内平野、圧巻です。そして頂上直下は岩山でなかなかの登りごたえ。ぜひ一度登ってみてほしい山です。部活の後輩を誘って行った時もとても満足してくれて、それが嬉しかったのを覚えています。他にも岩手県には盛岡市のシンボル的存在の岩手山、福島県には安達太良山、宮城県にも栗駒山や泉ヶ岳など、季節季節で風光明媚な景色を楽しめる山々があります。 自然の次は文化でしょうか。とにかくイベントはとっても多いです。春には西公園や榴ケ岡公園で花より団子のお花見、夏は定禅寺通りで木漏れ日を浴びて広瀬川で川のせせらぎを聞くのも心地いいですし七夕祭りもあります。秋には勾当台公園でジャズを聴き、冬は光のページェントで美しいイルミネーションの中を歩く。本当に飽きないです。「青葉城恋唄」という曲をご存知でしょうか。夕方の番組「OH!バンデス」の司会の宗さんこと、さとう宗幸さんの曲です。”広瀬川流れる岸辺” から始まる叙情的な詩と感傷的なメロディーは杜の都・仙台の四季折々の美しさが目に浮かんでくるようです。東北は祭りの宝庫で青葉祭りや日本酒祭り、足を伸ばせば秋田は大曲の花火大会や青森のねぶた祭り、青森県弘前市の桜まつり、三陸のツール・ド・東北、山形の花笠まつりなどあげたら枚挙に暇がありません。 あとは温泉ですね。東北は温泉もとても多いです。温泉街が好きな方にはたまらないでしょう。有名なところだと秋保温泉、鳴子温泉、銀山温泉などでしょうか。他にも一度は聞いたことがある温泉がたくさんあります。僕はすぐのぼせちゃうので温泉巡りはしないのですが、小原温泉という多分秘湯の一つに数えられるであろう宮城県白石市の温泉が印象に残っています。入浴料200円、シャンプー石鹸禁止。とても面白いです。電車とバスで行けるそうなので興味があれば是非。今行きたいのは南会津の方のどこかの温泉郷ですね。あの辺りはいたるところに温泉が湧いていてどこに行こうか悩みます。大きな温泉街もいいですが人の少ない静かな温泉宿にも足を運んでみたいですね。 最後に東北の魅力で外せないのは何と言っても食です。宮城だと牛タン、魚は有名ですね。ラーメン屋さんも多いように感じますが、それは全国どこでもそうなんでしょうか。僕は牛タンは全然食べないですが、高校の友達とかが来てくれた時にはとりあえず牛タン屋さんに行くことにしています。魚関係で面白いのは塩釜の朝市でしょうか。市場で好きな刺身を買って最後に丼も手に入れ、勝手丼の完成です。自転車で日本三景の一つ松島に行って日の出を見、塩釜の朝市で勝手丼を食べ、それから学校に行ったことがあるのですが、ちょっとしんどいですけど1日がとても充実します。何かやりたいな〜って思った時にオススメのコースです。僕の中で東北グルメのイチオシは盛岡に本店を構える福田パンです。福田パンの本店は盛岡駅から歩いて15分くらいかかるんですけど、サンドイッチの種類が豊富で全部食べたくなります。本当に美味しいです。仙台にもできてほしいと心から願っています。 こんな感じで東北にはいいところがたくさんあります。東北でしか体験できないことはたくさんあると思います。皆様には、貴重な学生生活を送る上で仙台はとってもおすすめです、ということをお伝えしてこの記事は終わりにしたいと思います。最後まで読んでいただきありがとうございました。
今回は大学生と言えば!な、 バイトについて少しお話ししたいと思います。医学部生だと忙しくてバイトが出来ないのでは…と思っている方もいらっしゃるかもしれません。しかし、実際に医学部の色々な学科の学生さんにインタビューしたところ、多くの人が多様なバイトをしていました。広く人気なものから医学部の学生ならではのものまで紹介していきたいと思います。 まずは定番の人気バイト紹介です。私自身が経験したものとしては対面・オンラインの塾講師があります。塾によって違いはあるとは思いますが、時間や曜日の自由度が高く、時給も比較的高いことがいいところかと思います。教える内容は自身が得意な科目を選べることがほとんどで、塾の指導方針に沿った教え方で進めるところもあれば、それぞれの教師が考えた指導方針で進める場合もあります。また、塾講師と似たものとしては家庭教師も人気です。週に1回固定した曜日で働く場合が多く、1人の生徒を継続して教えていく、時給がさらに高いといった特徴があります。教育系のバイトは色々な人と関わったり、人に教えたりすることが好きな方や、毎日は大変だから週に数回バイトしたい方になどにおすすめです。他には、カフェバイトが人気でした。周りの友達にインタビューしたなかでも教育系バイトの次に働いている人が多かったです。カフェを始め、飲食系バイトのいいところとしては長時間働けて沢山稼げる、接客能力が身につくなどがあります。また、他大学や学生以外の人と仲良くなれるところも魅力のひとつのようです。もう一つ挙げるとすれば居酒屋さんバイトです。多様な人と関われることや賄いが美味しいことが惹かれるところみたいです。(賄いの写真を見せてもらいましたが、本当に美味しそうで、私も居酒屋さんでバイトをしてみたくなりました。) 医学部の学生ならではのものとして、私自身1番驚いたのが看護学科の学生さんの看護助手バイトです。東北大学病院で、夕方から夜にかけて、看護補助業務や病棟によって異なる業務があります。バイトをしながら将来働くイメージを掴めたり、先輩の看護師さんのお話をきけることが魅力のようです。 記事を書くにあたり、医学部の様々な学科の学生さんにバイトの話をきくなかで、私の知らないバイトをしている人や、意地でも働かずに節約に走る人など様々で、とても面白かったです。個人的には学生生活の一つとしてバイトをするのも楽しいと思うのでおすすめです。今回の紹介が将来の医学部生活を思い描くきっかけになったり、学生生活を少しでも楽しみに感じたりしていただけたら嬉しいです。
皆様初めまして。実行委員長の井手田凌です。今回は、実行委員長としての記事ではなく、一人の学生として記事を書く機会を頂きましたので、医学科5年生の生活を紹介したいと思います。 医学科5年生は、1年間をかけて臨床修練を行います。病院実習、ポリクリ、SGT(Small Group Teaching)などとも呼ばれます。1~4年生の間は座学が中心でしたが、5年生からは実際に病院に入り、患者さんと接することを通して、4年間で得た知識を更に深めていく、貴重な機会を頂けます。医療者側から見た我々は、まだまだ学びの道半ばの立場ですが、患者さんからすると、白衣を着た我々が医療従事者に見えても不思議はありません。そのため、患者さんに失礼のないよう医療チームの一員としての振る舞いを心がける日々となり、非常に身が引き締まる思いです。緊張する場面も多々ありますが、将来より良い医療者になるべく、仲間達から、先生方から、そして何より患者さんから学ばせていただく日々は、非常に充実したものです。 さて、ここからは少し踏み込んで、実習の中身についてご説明いたします。他の記事のように、曜日ごとに分けて解説できれば良いのですが、臨床修練のスケジュールは、実習させていただく科によって大きく異なります。そのため、多くの科で共通する実習内容について、いくつか取り上げてご紹介します。 どの科であっても経験することとして、まずは回診があります。入院中の患者さんのご様子を伺いに行く時間です。先生方の声掛けの仕方や、患者さんとの接し方を学びます。また、学生なりに患者さんのご様子を見させていただき、お変わりがないかなどに目を配り、耳を傾けます。続いて、問診です。大学病院では、患者さんの許可をいただいて、医学生がお話をお聞きして、カルテにまとめる、といった機会があります。緊張する場面ではありますが、学生にとっては実習の一環だったとしても、患者さんにとっては貴重な時間を割いて病院に来て、ご自身の病状を話す大切な機会です。経験が浅く未熟ながらも、知識が及ばないながらも、患者さんの今後の治療が少しでも上手くいくよう、全力で患者さんのお話に耳を傾けます。先生も見守ってくださるので、心強いです。更に、医師や医療スタッフの方々による会議(カンファレンスとも呼びます)に参加する機会もあります。座学で学んだ単語だけでなく、その科の専門的な略語も飛び交うので、内容を理解するだけでも精一杯ということも多いです。それでも、少しでも学びを増やせるよう、メモを取ったり調べたりしながら参加しています。最後に、手術見学です。実際に手術室に入らせていただき、手術の様子を見せていただきます。単に病名と手術名だけを学ぶのとは違って、実際の手術の光景を見ながらの学びは強く頭に残ります。 医学科5年生では、このように今までの座学とは違った内容の学びをすることができます。大変なときもありますが、少しずつ、ほんの少しずつではありますが、医師に近付いている実感が出来るので、非常に楽しく、充実した日々です。一緒に学ぶ仲間達、優しく熱心に教えてくださる先生方、何より未熟な我々がチーム医療に参加することをお許しくださり、ご協力くださる患者さん達のおかげで、この実習は成り立ちます。常に感謝の気持ちを忘れず、今後も真摯に学び続けたいと思います。 それでは、今回はこの辺で失礼いたします。今後も色々な記事を更新していく予定ですので、ぜひご確認いただければ幸いです。ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。
専門家の力 患者さんから採取した血液検体の検査は、現在では多くが自動化されている。人の関りが少ないように見えるが、日常診療で使用されている臨床検査データは、誤診が起きないように徹底した人による管理が行われ、その精度が担保されている。 精度を管理せよ どんな優れた機械、優れた方法を用いようと、測定誤差というものは常に存在する。それのみならず、検体の取り扱いが適切でなければ、正しいデータが出るはずがない。その管理は人の力による。 東北大学病院検査部では、ISO15189という臨床検査室における検査の品質と能力に関する要求事項を満たす国際規格を取得している。日常の検査では、検体の採取から搬送、実施中の検査と装置の管理、検査後のデータが医師に届くまでの一連を管理し、正確な検査データが迅速に届くように行われている。 必要なデータを追い求める また、各分野に精通した臨床検査技師が検査を行うことで、病気の早期発見のため医師への付加価値のある情報提供も行っている。例えば、検査データを見て、診断をするにはデータが足りないと判断した場合は、上記のフローサイトメトリーなどの追加検査を実施するなど、必要な検査を医師に対して提案することもある。 総括 採血検査は非常にメジャーな検査だ。しかしながら、採血後の血液検体がどこにいくのかということについては、一般的に広く知られているとは言い難い。そこで今回は、生化学検査と血液検査がどのように進むのかという舞台裏を紹介した。 検査部では日夜、診療に不可欠なデータを提供している。そしてそれは、専門家による人の力と、最先端の機材による機械の力あってこそなのだ。 参考文献 メディックメディア(2017)「検査」, 医療情報科学研究所「病気がみえる vol.5 血液(第2版)株式会社メディックメディア」p.12 東北大学病院「各検査室紹介 | 東北大学病院」, 東北大学病院, https://www.hosp.tohoku.ac.jp/departments-3/d3101/introduction/ (2022/10/05) 日本医療検査科学会(2020)「日本医療検査科学会第52回大会 第10 回 血液検査機器技術セミナー」, 日本医療検査科学会, https://jcls.or.jp/wp-content/uploads/2021/04/cdcdf780609304d0f717b7741aaf2d81.pdf (2022/10/05) 文責:東北大学医学部医学科4年 病院企画班 松原光希
血液検査 その他に行われているのが血液検査だ。生化学検査では血清または血漿中の分子を検査していたが、こちらでは赤血球や白血球、血小板など、血液中の細胞の数や異常を見つける、よりマクロな検査が行われている。また、止血に関わる凝固系の検査や血小板の機能検査、血栓症に関わる検査なども行われている。 血球算定・血液像 ↑血球分析に用いる装置一式 血球算定の検査検体は、専用の採血管に採血され検査室に運ばれてくる。検体は専用のラックに収められ、この装置にセットされる。 多項目自動血球分析装置 ↑多項目自動血球分析装置 血液中の赤血球や白血球、血小板などの血球は、体中の組織に酸素を運んだり、細菌やウイルスなどの病原体と戦ったり、止血に関わったりする重要な細胞である。それがどれ程存在しているか、またそれらに異常はないかというのは、臨床上非常に重要な情報だ。 かつては顕微鏡を使って一つ一つ血球を数えていたこの検査も、今や自動化されている。1回の検体吸引により、赤血球、白血球、血小板の計数、ヘモグロビン濃度、白血球分類の測定が可能である。この測定を「血算」と呼ぶ。 血球計数の基本的な原理は、「シースフローDC検出法」と呼ばれる原理が用いられている。これは血球が殆ど電流を通さないことを利用し、血球が極小の孔を通る時の周辺の電気抵抗の変化を計測することで、孔を通過した血球の数と体積を導き出している。血球の大きさはその種類によって異なるので、そこから血球の分類が可能である。 貧血の診断に使用されるヘモグロビン濃度は、「SLS-ヘモグロビン法」という原理を用いている。赤血球内に含まれるヘモグロビンを試薬により転化させ、その色素から検体のヘモグロビン濃度を算出するものである。 白血球分類の測定は、半導体レーザーを利用したフローサイトメトリー法を用いている。血球一つ一つにレーザーを当て、その散乱光をとらえることで、血球の大きさや内部構造の複雑さ、細胞内成分の多寡を判別するものである。これにより白血球を好中球、好酸球、好塩基球、単球、リンパ球に細分類し、その増減、また異常な血球の有無を解析する。 ↑フローサイトメトリーの概略図 収納機 ↑収納機 右にあるのが先程の多項目自動血球分析装置である ↑収納機の内部 血算で特に異常が認められなかったものは、この収納機に一時保存される。仮に再検査や追加検査が必要だった場合に備え、必要になった検体をすぐに取り出せるように収納ポジションが把握できるように管理されている。 塗抹標本作成装置・鏡検 ↑塗抹標本作製装置 右に先程の収納機が置かれている 血算測定で異常が見つかった場合、臨床検査技師による顕微鏡観察が必要となる。この塗抹標本作製装置は、その作業を驚異的に効率化するものだ。 先の装置で血算を測定したときに異常が検出された場合、検体は先程の収納機に収められる前に、この装置に入る。この装置は少量の検体を薄くスライドガラスに広げた「血液塗抹標本」を自動で作る。血液像の観察では、適切に作製された標本を使用しないと血液細胞の異常を正確に判定することができない。この装置の活躍により、顕微鏡検査を担当する臨床検査技師たちは、この装置からスライドガラスを取るだけで、良質な塗抹標本を得ることが出来るのだ。 塗抹標本を作り終えると、検体の入った採血管は今度こそ収納機に収められる。 ↑顕微鏡観察に使われる顕微鏡 原始的とも思える顕微鏡観察であるが、これもまた重要な検査である。 血球の中には装置では検出できない細胞形態の変化というものも存在する。たとえばウイルス感染時のリンパ球の変化や正常細胞に紛れ込んでいる造血器腫瘍細胞などは装置で完璧に識別できるわけではなく、顕微鏡下で人の目でとらえられる。詳細な細胞分類は機械で行うには至っておらず、判別するには鏡検が必須なのである。 検査機器の性能は向上しているが、その機械を効果的に使用し、人の力を合わせることで病気の早期発見ができるのである。 凝固系 ↑全自動血液凝固測定装置 凝固系:血液はきちんと固まるか ヒトの血液には凝固系という止血システムが存在する。血中のフィブリノゲンという糖タンパクはトロンビンの作用により、フィブリンというメッシュ状の繊維に変化し、血液を凝固させる。 この凝固系を試験管内で再現し、血液が凝固するまでの時間を測定することで、止血異常などの有無を確認することができ、手術など処置前の非常に重要な情報となる。この機械では凝固系を活性化させる試薬を検体の血漿成分に投入し、凝固するまでの時間を自動で計測してくれる。これにより止血の能力やその異常を確認することができ、また現在では、血液中の凝固反応の過剰を表す分子マーカーや血栓の有無をとらえることもできる。 フローサイトメーター 多項目自動血球分析装置に搭載されているフローサイトメトリーだが、細胞解析に特化した専用の機材も存在する。 こちらでは、細胞にレーザーを照射し、その散乱光から得られる情報だけではなく、蛍光色素の付いた抗体を利用することで、細胞表面または細胞内にある細胞系統を特定する抗原や細胞機能を表す分子を同定することが可能である。 ここから得られる情報は、リンパ球サブセットの分類や、造血器腫瘍の診断に使用される。顕微鏡ではわからない細胞の特徴や異常をこの機械でとらえることができる。 このフローサイトメトリーを院内のルーチン検査で実施している施設は少なく、多くは外注委託となっている。東北大学病院検査部では上記の検査を行った上で、更に情報が必要な場合に、さまざまな造血器腫瘍に柔軟に対応し、迅速な検査結果の報告を行っている。 ↑フローサイトメーター
診療現場において日常的に行われている血液検査。診断にも治療効果の評価にも不可欠な血液検査だが、そのデータがいかにして報告されているかということは、あまり知られていない。 今回は患者さんから採取された検体が、如何なる工程を経て、診察室に届けられるデータとなるか紹介していく。 生化学検査 まず紹介するのは、特定分子の濃度や活性を測定する、いわゆる生化学検査だ。 生化学検査の項目には血糖や総蛋白、脂質といったものや、ASTやLDH、γ-GTPといった酵素、クレアチニンのような代謝産物などがある。 異常所見が何を示唆するかはそれぞれの指標によって異なる。例えばASTやALTが上昇していれば肝疾患を疑い、クレアチニンの異常高値があれば腎機能障害や脱水を疑うことが出来る。 徹底的な自動化 かつてはこれらの検査も一つ一つ臨床検査技師の手で行われていたそうだが、現在の東北大学病院では、一日に800~1000件もの検体を検査せねばならない。その数に対応するため、検査件数の多いものに関しては、検査の工程の殆どが高度に自動化されている。 採血室から来た検体は、まずこの装置によって遠心分離を受ける。 ↑遠心分離機 これにより血液は「血餅」と「血清」に分離される。生化学検査に必要なのは、この透き通った血清の方だ。 ↑血餅(下部)と血清(上部)に分離された血液検体 両者を分ける中央部の白色の分画は分離剤 分離された検体は、次のこの自動分注装置にセットされる。 ↑自動分注装置 ここからの処理は、その殆どが自動で行われる。 生化学検査は複数の分析装置で行われる検査を一本の採血管で賄っている。分注装置は検体の入った採血管のバーコードを読み取り、病院システムから依頼された検査を参照し、検査に必要な分析装置数に応じて子管に分注する。さらに子管はベルトコンベア(搬送システム)で各検査装置に運ばれ、検査依頼に応じて各検査が全自動で行われることになる。子管に分注するメリットは、複数の検査装置で同時に検査が開始することができるため、報告時間を短縮できる点である。 一時間に80人分:生化学検査自動分析装置 ↑生化学検査自動分析装置 この自動分析装置では、肝機能の検査に必要なASTやALT、腎機能を反映するクレアチニンや尿素窒素など、非常に多くのバイオマーカーを測定している。 ↑生化学検査自動分析装置の一部。4本のアームで試薬を撹拌する。黒い円状のパーツに開いている四角形の穴が、検体や試薬を入れる「セル」である この機械の中では、ラベルから行うべき検査を読み取り、それに対応した試薬の注入と吸光度測定を実施し、目的の物質の濃度や活性を導き出す。この工程は全自動で行われる。 検査速度も非常に速い。この機械一台で、最大で一時間に2000テストもの検査を行うことが出来る。一検体で行う検査数や、試薬と検体を反応させるパーツである「セル」の洗浄時間を加味しても、一時間に70~80人分もの検体を測定することが出来るという。 腫瘍マーカーやホルモンのスペシャリスト:化学発光免疫測定装置 完璧にも思える自動分析装置だが、弱点は存在する。吸光度測定によって濃度を計測するという都合上、腫瘍マーカーやホルモンなど、血中濃度が非常に低い物質の解析は困難なのだ。 自動分析装置で分析可能な物質の一つ、直接ビリルビンの正常値は0.5 mg/dL以下とされている。一方で胃癌や大腸癌の腫瘍マーカーであるCEAの正常値は5.0 ng/mLだ。文字通り、スケールが違いすぎる。 そこで、これらの物質の測定は「化学発光免疫測定装置」という別の装置で検査が実施される。 ↑化学発光免疫測定装置 検査原理上、蓋を開けてしまうと動作が中断するため、中を見ることは出来ない この装置は、標的物質(抗原)とそれに結合する抗体を利用した抗原抗体反応を測定原理としている。抗体に標識されて発光する物質を用いることで、光の強さから標的物質の濃度を測定する。こちらも全自動での検査システムに組み込まれているが、反応過程で洗浄操作なども含まれることから、生化学自動分析装置よりも測定に時間がかかってしまうという。 検体を自動で保管 これらの検査では、採血した血液をすべて使うわけではない。分注後も採血管には十分量の血液(血清)が残っている。従って残った血液は一週間冷蔵保存し、再検査や追加検査に備えることになっている。そして、その冷蔵過程もまた自動化されている。 ↑検体を一時保管する保冷庫 搬送システムに組み込まれており、検体は全自動でここに格納される 検査を終えた検体はベルトコンベアでこの保冷庫に運ばれ、保存される。人の手を介すること無く保管されるため、移動にかかる時間を最小限にでき、検体の劣化を最小限にできるのだ。 とはいってもこの保冷庫の容量では検査部が定める保管期間分の検体を保管できないため、別途保存用の冷蔵庫に移動させる必要があるという。再検査や追加検査に備え、1週間分の検体を冷蔵保存しているそうだ。 血糖値とHbA1c 上記のように生化学検査は自動化されている。とは言え、全ての検査を搬送システムに連結することは困難である。 例えば、糖尿病の所見となる血糖値とHbA1cの検査装置は搬送システムから切り離されている。 ↑左:HbA1c測定機 右:血糖値測定器 上記2項目は同時に検査依頼されることが多く、かつ生化学検査とは別の専用採血管を使う必要があるため、あえて搬送システムと切り離した運用をしている。一日あたり500件の検査を実施しているが、こちらの検査も自動分析されており、迅速な結果報告が可能である。 測定原理としては、血糖値は糖と酵素の反応を電気信号で捉える「酵素電極法」が、HbA1cは「高速流体クロマトグラフ」が用いられている。
この記事では検査技術科学専攻2年生前期の1週間について紹介します。時間割は下記のようになっています。 まずは月曜日。この日は1限から4限まで専門科目の授業があります。1限は対面で行う検査情報科学です。この授業では医学分野でも情報技術が発展していることから、情報処理の仕組みについて学んでいます。(医療系でも情報は大事なんです!)また基本的なコンピューターの基礎知識についても習得できます。2限はオンラインで病理形態学の講義を受けます。病理形態学では代表的な疾患について病理学的立場から理解していきます(ちなみに病理検査では、体から組織や細胞を採取して染色し、顕微鏡で異常を調べます!)。名前だけは聞いたことがあるという疾患も詳しく学ぶことができるので楽しいです。 2限が終わったら昼食タイム。星陵キャンパスには麺類からご飯もの、アラカルトまで豊富なメニューが揃っている医学部食堂があります。また軽食、アイス等も買える購買もあるのでその時の気分によって自分の好きなものが食べられます。午後の専門科目の授業に備えてお昼にしっかりとエネルギーを摂取していきます。3限は対面で臨床医学総論の授業を受けています。この授業は循環器・呼吸器疾患についての講義が行われます。各種疾患の症候から必要な検査や、疾患の治療法についても学んでいます(検査専攻の学生も治療法勉強するんです!)。4限は基礎生化学の対面授業を受けます。この講義では、体内に存在する生体物質と体内で生じる生命現象について学んでいきます。この授業が終わると月曜の講義は全て終了です。この時点で時刻は16時10分。部活動・サークル活動やバイトがある人もいれば、夜ご飯を友人と食べにいく人など過ごし方は人それぞれです。また、星陵キャンパスに残って授業の復習や課題に取り組む人も多々います。 次に火曜日。この日の私が履修登録している授業は3限の数理統計学のみです。この科目は検査専攻の学生は必修となっています。1限がある日に比べてこの日の朝はゆったりと過ごせます。また、数理統計学の授業は2つに分けられ、私がとっている授業はオンデマンド形式になっているため、自分の時間に合わせて受けることができます。この日は課題や講義の復習をする日として活用しています。 そして水曜日は1限と2限に専門科目の講義があります。1限は生体分子分析化学(難しそうな名前ですよね。。。)という講義を対面で受けます。分析化学とは臨床化学検査の根本である「測定法」に関する学問分野です。そして2限は血液学の講義を受けます。この講義では血液の成分・機能についての基礎的な知識や各種血液疾患の病態、検査について学習しています。2限まで終わったら、今日の講義はここまでなので、午後は自分の好きなことに時間を使ったり、バイトをしたりしています。 続いて木曜日。この日の私のとっている授業は3限の英語のみとなっています。1限がないので朝をゆっくり過ごすことができますが、午前の時間を有効に使って家事を終わらせています。また14時30分には授業が終わるのでその後の時間は買い物や課題をしたりして、できるだけ家でだらけることがないように過ごしています。 最後の金曜日。この日の1限は免疫学の講義がオンラインであります。この授業では生体防御のメカニズムを理解して、病気との関連について学んでいます。2限では微生物学の授業を受けます。微生物学では感染症の種類、病態、症状、診断、治療、予防について理解するとともに原因微生物の様々な検査方法も学習しています。覚えることが多い講義の一つですが、次回の授業で前回の授業の小テストがあるので、復習することで知識の定着を図っています。金曜日も2限までの授業で終わりなので午後は自由に時間を使うことができます。 ここまでが検査専攻の学生の1週間です。上記に書いたのはあくまで私が履修登録している授業のみであり、他にも様々な選択科目があるため、自分が興味ある授業を取ることもできます。検査専攻の2年生前期は「華の3セメ」(東北大学では1年が前期後期で分けられ、1年生の前期から順に1セメスター、2セメスター、、、と表現されます。その略語として◯セメという呼び方が一般的になっています)とも呼ばれ、自分の趣味や好きなことに時間を使ったり、友人との最高な思い出を作るには最適な時期です。必修科目の勉強を疎かにしないようにすれば、大学生活を楽しむことができると思います。 以上で検査専攻の学生の紹介を終わります。
どうも〜脱出ゲーム班の班長の相原(仮)です!前回の投稿から2ヶ月が経ってしまいました、ごめんなさい( ;∀;)夏休みを十分に満喫させていただいておりました。そして、病院実習が始まると同時に医学祭の準備もアクセルを踏んで、着々と進めているところでございます。こちらをご覧になっている物好きな方は、医学祭関係者が多いのでご存知かもしれませんが、医学科は夏休みが1ヶ月しかないのです!大学生活は人生の夏休みとか言って、夏休みも春休みも2ヶ月くらいあってゆっくりできるものなのですが、医学科はそう甘くはありません…1年生でさえ、1ヶ月しかないのです…「思っていた大学生活とちがーう!!!」いう悲痛な叫びは医学部の至る所で聞こえてきます笑笑なんて愚痴はさておきまして、うちの班の頑張りについてアピールを。脱出ゲームのテーマは消化管なのですが、口、食道、胃、腸、がん、栄養という6つのブースを用意しておりまして、1人1つくらい担当して、展示するポスターを絶賛作成中です!伝わるように文章を考えるのって難しいですね、みんなで痛感しております…もちろん、みんなコピペとかじゃ無く、一生懸命言葉を選びながら一から文章を作っているのですよ。こだわりの文章に注目してくださいね!そして、ポスターだけでなく、装飾にも手をつけ始めました!これ、なんだか分かりますか…? まだまだ途中なのですが、分かる方には分かるはず…結構形はいい感じに出来てます。(協力してくれた大切のお友達の皆さんありがとう!!)これは、消化管とは直接的には関係ないのですが、私たちの脱出ゲームには、なくてはならないものなのです٩( ᐛ )وこれからどんどん立体的にしていくので、更新を楽しみにしていてくださいね!ではでは、また私の気が向いた時にお会いしましょ~
初めまして。東北大学医学部医学科5年生で「ぬいぐるみ病院」という企画を担当しております。前回も大人気の企画です。子供達の笑顔を見られるのを楽しみにしています。 さて軽く自己紹介です。出身は大阪で高校卒業までずっと大阪で育ちました。東北大学に行こうと思ったきっかけは、一人暮らしをしたかったこと、なんとなく寒いところに行きたかったことです。でも北海道は雪深そうなので東北にしました。最初は東北大学ってどこにあるんだ、って感じでしたが、仙台に住み始めた時は未踏の地で暮らすことに高揚感を覚えていました。そして今ではここ仙台をとても気に入っています。そこで今回は東北地方のいいところを紹介しようと思います。 まず一番は自然に恵まれていることですね。僕は医学部ヨット部に所属しておりまして現役の時は毎週海に行ってました。今でもよく海に行きます。2018年までは七ヶ浜、現在は閖上で活動しています。海というと私は仙台に来るまでは無縁でしたが、今ではなんだか親みたいな感じの印象を持っています。優しい風を吹かせてくれる時もあれば自然の厳しさでもって打ちのめしてくることもありました。海は多くのことを僕に教えてくれました。閖上のヨットハーバーに来たばかりの頃はハーバー付近の道路は未舗装、仮設トイレにプレハブ小屋という状態でしたが、現在ではハーバー内に施設も建てられ、近くには閖上朝市やかわまちテラス、サイクルスポーツセンターなどもあり毎週末が盛況です。閖上には是非一度訪れてみてください。 海だけじゃ山派の方に申し訳ないので山の話もしましょう。東北には登りがいのある山がいくつもあります。一番は山形県と秋田県にまたがる標高2,236mの鳥海山。登っている途中にふと振り向いたときに広がっている日本海と庄内平野、圧巻です。そして頂上直下は岩山でなかなかの登りごたえ。ぜひ一度登ってみてほしい山です。部活の後輩を誘って行った時もとても満足してくれて、それが嬉しかったのを覚えています。他にも岩手県には盛岡市のシンボル的存在の岩手山、福島県には安達太良山、宮城県にも栗駒山や泉ヶ岳など、季節季節で風光明媚な景色を楽しめる山々があります。 自然の次は文化でしょうか。とにかくイベントはとっても多いです。春には西公園や榴ケ岡公園で花より団子のお花見、夏は定禅寺通りで木漏れ日を浴びて広瀬川で川のせせらぎを聞くのも心地いいですし七夕祭りもあります。秋には勾当台公園でジャズを聴き、冬は光のページェントで美しいイルミネーションの中を歩く。本当に飽きないです。「青葉城恋唄」という曲をご存知でしょうか。夕方の番組「OH!バンデス」の司会の宗さんこと、さとう宗幸さんの曲です。”広瀬川流れる岸辺” から始まる叙情的な詩と感傷的なメロディーは杜の都・仙台の四季折々の美しさが目に浮かんでくるようです。東北は祭りの宝庫で青葉祭りや日本酒祭り、足を伸ばせば秋田は大曲の花火大会や青森のねぶた祭り、青森県弘前市の桜まつり、三陸のツール・ド・東北、山形の花笠まつりなどあげたら枚挙に暇がありません。 あとは温泉ですね。東北は温泉もとても多いです。温泉街が好きな方にはたまらないでしょう。有名なところだと秋保温泉、鳴子温泉、銀山温泉などでしょうか。他にも一度は聞いたことがある温泉がたくさんあります。僕はすぐのぼせちゃうので温泉巡りはしないのですが、小原温泉という多分秘湯の一つに数えられるであろう宮城県白石市の温泉が印象に残っています。入浴料200円、シャンプー石鹸禁止。とても面白いです。電車とバスで行けるそうなので興味があれば是非。今行きたいのは南会津の方のどこかの温泉郷ですね。あの辺りはいたるところに温泉が湧いていてどこに行こうか悩みます。大きな温泉街もいいですが人の少ない静かな温泉宿にも足を運んでみたいですね。 最後に東北の魅力で外せないのは何と言っても食です。宮城だと牛タン、魚は有名ですね。ラーメン屋さんも多いように感じますが、それは全国どこでもそうなんでしょうか。僕は牛タンは全然食べないですが、高校の友達とかが来てくれた時にはとりあえず牛タン屋さんに行くことにしています。魚関係で面白いのは塩釜の朝市でしょうか。市場で好きな刺身を買って最後に丼も手に入れ、勝手丼の完成です。自転車で日本三景の一つ松島に行って日の出を見、塩釜の朝市で勝手丼を食べ、それから学校に行ったことがあるのですが、ちょっとしんどいですけど1日がとても充実します。何かやりたいな〜って思った時にオススメのコースです。僕の中で東北グルメのイチオシは盛岡に本店を構える福田パンです。福田パンの本店は盛岡駅から歩いて15分くらいかかるんですけど、サンドイッチの種類が豊富で全部食べたくなります。本当に美味しいです。仙台にもできてほしいと心から願っています。 こんな感じで東北にはいいところがたくさんあります。東北でしか体験できないことはたくさんあると思います。皆様には、貴重な学生生活を送る上で仙台はとってもおすすめです、ということをお伝えしてこの記事は終わりにしたいと思います。最後まで読んでいただきありがとうございました。
今回は大学生と言えば!な、 バイトについて少しお話ししたいと思います。医学部生だと忙しくてバイトが出来ないのでは…と思っている方もいらっしゃるかもしれません。しかし、実際に医学部の色々な学科の学生さんにインタビューしたところ、多くの人が多様なバイトをしていました。広く人気なものから医学部の学生ならではのものまで紹介していきたいと思います。 まずは定番の人気バイト紹介です。私自身が経験したものとしては対面・オンラインの塾講師があります。塾によって違いはあるとは思いますが、時間や曜日の自由度が高く、時給も比較的高いことがいいところかと思います。教える内容は自身が得意な科目を選べることがほとんどで、塾の指導方針に沿った教え方で進めるところもあれば、それぞれの教師が考えた指導方針で進める場合もあります。また、塾講師と似たものとしては家庭教師も人気です。週に1回固定した曜日で働く場合が多く、1人の生徒を継続して教えていく、時給がさらに高いといった特徴があります。教育系のバイトは色々な人と関わったり、人に教えたりすることが好きな方や、毎日は大変だから週に数回バイトしたい方になどにおすすめです。他には、カフェバイトが人気でした。周りの友達にインタビューしたなかでも教育系バイトの次に働いている人が多かったです。カフェを始め、飲食系バイトのいいところとしては長時間働けて沢山稼げる、接客能力が身につくなどがあります。また、他大学や学生以外の人と仲良くなれるところも魅力のひとつのようです。もう一つ挙げるとすれば居酒屋さんバイトです。多様な人と関われることや賄いが美味しいことが惹かれるところみたいです。(賄いの写真を見せてもらいましたが、本当に美味しそうで、私も居酒屋さんでバイトをしてみたくなりました。) 医学部の学生ならではのものとして、私自身1番驚いたのが看護学科の学生さんの看護助手バイトです。東北大学病院で、夕方から夜にかけて、看護補助業務や病棟によって異なる業務があります。バイトをしながら将来働くイメージを掴めたり、先輩の看護師さんのお話をきけることが魅力のようです。 記事を書くにあたり、医学部の様々な学科の学生さんにバイトの話をきくなかで、私の知らないバイトをしている人や、意地でも働かずに節約に走る人など様々で、とても面白かったです。個人的には学生生活の一つとしてバイトをするのも楽しいと思うのでおすすめです。今回の紹介が将来の医学部生活を思い描くきっかけになったり、学生生活を少しでも楽しみに感じたりしていただけたら嬉しいです。
皆様初めまして。実行委員長の井手田凌です。今回は、実行委員長としての記事ではなく、一人の学生として記事を書く機会を頂きましたので、医学科5年生の生活を紹介したいと思います。 医学科5年生は、1年間をかけて臨床修練を行います。病院実習、ポリクリ、SGT(Small Group Teaching)などとも呼ばれます。1~4年生の間は座学が中心でしたが、5年生からは実際に病院に入り、患者さんと接することを通して、4年間で得た知識を更に深めていく、貴重な機会を頂けます。医療者側から見た我々は、まだまだ学びの道半ばの立場ですが、患者さんからすると、白衣を着た我々が医療従事者に見えても不思議はありません。そのため、患者さんに失礼のないよう医療チームの一員としての振る舞いを心がける日々となり、非常に身が引き締まる思いです。緊張する場面も多々ありますが、将来より良い医療者になるべく、仲間達から、先生方から、そして何より患者さんから学ばせていただく日々は、非常に充実したものです。 さて、ここからは少し踏み込んで、実習の中身についてご説明いたします。他の記事のように、曜日ごとに分けて解説できれば良いのですが、臨床修練のスケジュールは、実習させていただく科によって大きく異なります。そのため、多くの科で共通する実習内容について、いくつか取り上げてご紹介します。 どの科であっても経験することとして、まずは回診があります。入院中の患者さんのご様子を伺いに行く時間です。先生方の声掛けの仕方や、患者さんとの接し方を学びます。また、学生なりに患者さんのご様子を見させていただき、お変わりがないかなどに目を配り、耳を傾けます。続いて、問診です。大学病院では、患者さんの許可をいただいて、医学生がお話をお聞きして、カルテにまとめる、といった機会があります。緊張する場面ではありますが、学生にとっては実習の一環だったとしても、患者さんにとっては貴重な時間を割いて病院に来て、ご自身の病状を話す大切な機会です。経験が浅く未熟ながらも、知識が及ばないながらも、患者さんの今後の治療が少しでも上手くいくよう、全力で患者さんのお話に耳を傾けます。先生も見守ってくださるので、心強いです。更に、医師や医療スタッフの方々による会議(カンファレンスとも呼びます)に参加する機会もあります。座学で学んだ単語だけでなく、その科の専門的な略語も飛び交うので、内容を理解するだけでも精一杯ということも多いです。それでも、少しでも学びを増やせるよう、メモを取ったり調べたりしながら参加しています。最後に、手術見学です。実際に手術室に入らせていただき、手術の様子を見せていただきます。単に病名と手術名だけを学ぶのとは違って、実際の手術の光景を見ながらの学びは強く頭に残ります。 医学科5年生では、このように今までの座学とは違った内容の学びをすることができます。大変なときもありますが、少しずつ、ほんの少しずつではありますが、医師に近付いている実感が出来るので、非常に楽しく、充実した日々です。一緒に学ぶ仲間達、優しく熱心に教えてくださる先生方、何より未熟な我々がチーム医療に参加することをお許しくださり、ご協力くださる患者さん達のおかげで、この実習は成り立ちます。常に感謝の気持ちを忘れず、今後も真摯に学び続けたいと思います。 それでは、今回はこの辺で失礼いたします。今後も色々な記事を更新していく予定ですので、ぜひご確認いただければ幸いです。ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。