検査部取材企画「あなたの検体はどこへ向かうのか」③

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専門家の力

 患者さんから採取した血液検体の検査は、現在では多くが自動化されている。人の関りが少ないように見えるが、日常診療で使用されている臨床検査データは、誤診が起きないように徹底した人による管理が行われ、その精度が担保されている。

精度を管理せよ​

 どんな優れた機械、優れた方法を用いようと、測定誤差というものは常に存在する。それのみならず、検体の取り扱いが適切でなければ、正しいデータが出るはずがない。その管理は人の力による。

 東北大学病院検査部では、ISO15189という臨床検査室における検査の品質と能力に関する要求事項を満たす国際規格を取得している。日常の検査では、検体の採取から搬送、実施中の検査と装置の管理、検査後のデータが医師に届くまでの一連を管理し、正確な検査データが迅速に届くように行われている。

必要なデータを追い求める

 また、各分野に精通した臨床検査技師が検査を行うことで、病気の早期発見のため医師への付加価値のある情報提供も行っている。例えば、検査データを見て、診断をするにはデータが足りないと判断した場合は、上記のフローサイトメトリーなどの追加検査を実施するなど、必要な検査を医師に対して提案することもある。

総括

 採血検査は非常にメジャーな検査だ。しかしながら、採血後の血液検体がどこにいくのかということについては、一般的に広く知られているとは言い難い。そこで今回は、生化学検査と血液検査がどのように進むのかという舞台裏を紹介した。

 検査部では日夜、診療に不可欠なデータを提供している。そしてそれは、専門家による人の力と、最先端の機材による機械の力あってこそなのだ。

参考文献

メディックメディア(2017)「検査」, 医療情報科学研究所「病気がみえる vol.5 血液(第2版)株式会社メディックメディア」p.12

東北大学病院「各検査室紹介 | 東北大学病院」, 東北大学病院, https://www.hosp.tohoku.ac.jp/departments-3/d3101/introduction/ (2022/10/05)

日本医療検査科学会(2020)「日本医療検査科学会第52回大会 第10 回 血液検査機器技術セミナー」, 日本医療検査科学会, https://jcls.or.jp/wp-content/uploads/2021/04/cdcdf780609304d0f717b7741aaf2d81.pdf (2022/10/05)

文責:東北大学医学部医学科4年 病院企画班 松原光希

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